top of page

​オペアンプ(4558)の回路動作

【 オペアンプ(4558)の回路動作 】

さて、今回は前回に引き続きオペアンプの話です。

前回はオペアンプがどういうふうに作られてるのかをお話ししましたが、今回は回路動作です。

みなさん、興味津々でしょ?!

 

まず上の図を見てください。

新日本無線(JRC)のNJM4558の外観写真と、その右横に回路図を載せてあります。

シンプルでしょ?!

左下にはオペアンプの代表特性の表を載せてますが、ゲインを見てください。

10万倍ですよ!10万倍!!

このシンプルな回路で10万倍・・・。

すごいですね・・(今時のオペアンプは100万倍くらいあります)。

遮断周波数とはオペアンプのゲインが1倍になる周波数と考えてOKです。

スルーレートとは、オペアンプの出力が1μ秒(0.000001秒)間に

何Vの電圧を出力できるか?を表したもので、まあオペアンプのスピードと考えてOKです。

他にもいろんな特性がありますが、それはまた次回説明いたしますね。

そして、右下にはおなじみのオペアンプのシンボルを載せています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、ではオペアンプの内部回路の説明をしていきましょう。

上の図に内部回路の各部分が何であるか?を示しています。

Q1〜Q4からなる回路はオペアンプの入力部にあたる、初段差動アンプという回路です。

この回路はQ1とQ2に入力される電圧の“差分”だけを増幅する回路なので差動アンプと呼ばれます。

この差動アンプには、その上にあるQ13から電流が供給されていて、その電流があるから回路が動作できるんですね。

その電流は、回路図の右端にある電流源回路で作られて、Q15〜Q13に伝達されるんです。

このQ15〜Q13をカレントミラーと言います。

電流源回路では、ツェナーダイオードが発生させる電圧からQ11のVf(ベース-エミッタ間電圧〜0.7V)下がった電圧を抵抗で割って電流を作っています。

 

初段の差動アンプで増幅された信号は、次のエミッタフォロワというバッファ回路でバッファ&レベルシフト&電流増幅されます。

(ここはダーリントン接続である、と言う人もいますが、まあ、そういう効果も出すことはできます。そのためにはエミッタフォロワに流す電流を小さくする必要がありますが、そうするとエミッタフォロワ自体のご利益がなくなりますので、ちょっと微妙なところですね・・。)

 

そのバッファされた信号が次のエミッタ接地アンプという、これまたゲインが高いアンプで増幅されるんですね。

Q6の上にあるQ7、Q8は一見トランジスタですが、その繋ぎ方からダイオードの役割を果たすんです。

ダイオードが2個縦積みされた回路になります。

これは、その次の出力段:プッシュプル回路を常に動作状態にするために必要なんですね。

​(A級、またはAB級アンプ、というバイアス状態にするということです)

このプッシュプル出力回路で電力をガバっと吐き出せるようにします。

以上が回路各部の名称と役割です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、いよいよ内部回路の動作の説明をしましょう。

上の図を見てください。

右上の3角シンボルの回路図のように+入力の入力電圧が上昇したとしましょう。

その様子は下の回路図の左端の紫の矢印に示しています。

この時、トランジスタQ2がオフする方向となり、その結果、差動アンプ出力であるQ5の真ん中の端子(ベース端子)が下がります。

 

すると、Q5からなるエミッタフォロワはバッファですので、次段のエミッタ接地アンプの入力であるQ6のベース端子も一緒に下がります。

すると、トランジスタQ6がオフになる方向ですので、プッシュプル出力回路のQ10のベース端子が上昇し、そのQ10の出力、つまりオペアンプの出力が上昇します。

(ここも細かい動作の話は割愛しますね)

この時、Q10からは大きい電流を吐き出すことができますので、電圧と電流、つまり電力が増幅されるということなんですね。

プラス入力にプラスの電圧を入力したら出力もプラスに上昇することにも注目してください。

以上、細かいことはマルっと省きましたが、回路動作としてはこういう動きをしています。

 

あと、差動アンプの出力とQ9の間にコンデンサ(とダイオードの並列)がありますよね?

これは“位相補償”のためのコンデンサで、オペアンプを正常に動かすために必須のものなんですよ。

この詳しい説明をしてもいいのですが、かなり紙幅を取りますので、そのうち、ということで!

ちなみに、内部ではなく、オペアンプの外側で出力端子と−(マイナス)入力端子の間に接続されているコンデンサ(56pFなど)も位相補償のコンデンサです。

以上がオペアンプ:4558の内部回路の動作でした。

どうですか?僕たちがオーバードライブ、ディストーションでお世話になっているオペアンプは以上のような動きを内部でしてるんですね。

 

電気に詳しくない方にとっては難しい話だったと思いますが、雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いです!

ここで上の図を見てください。

先ほどのシンボルを使って、オーバードライブ/ディストーションによく使われている増幅回路を書いています。

そしてその下に実際のオペアンプの回路図を使って、その中身が見えるようにしています。

普段は3角形で書かれていて、その中身はブラックボックスですよね?

​でも実際は下側のようになっているんです。

bottom of page