
GND(グランド)?アース?
【 GND(グランド)?アース? 】
みなさん、こんにちは!
エフェクターやアンプの回路図を見たことのある方や電気の知識がある方はGND(グランド)とか
アースという言葉、記号を見たことがあると思います。そうです、回路図の一番下に書かれている線で、
そこから上にトランジスタや抵抗で回路が組まれています。
このGNDやアース、一般的にそこの電圧(電位)は0(ゼロ)V(ボルト)だと認識されている場合が
多いと思います。
僕たちプロの回路設計者も特に断りがない場合は0Vと考えて回路を設計しますし、それで特に不都合は
ないんですね。
しかし!そのGNDやアースは本当に0Vなのでしょうか??
答えはズバリ、そこは別に何Vでも良いんです。
自分で決めれば良いんです。
??!なんのこっちゃ?!
コイツ、何言うてんねん??と思いましたでしょうか?
いや、これ、ほんとなんですよ。
GNDやアースなんて何Vでも良いんです。
例えば、僕が回路図に書かれているGNDを10Vだ!と決めれば、そこから上にエフェクターによく使われる
四角い電池を繋いだ場合、その電池の+電圧は19Vなんですよ。
−電圧は10Vになるんです。
もうお分かりかと思いますが、あの四角い電池の9Vというのは正確には電位差なんですね。
−電位に対する+電位が9Vありますよ、ということなんです。
(9Vというのは−端子から+端子を見た時のポテンシャルエネルギー)
シンプルに言うと、この世に絶対的な0Vなんてないということなんですよ。
すべては”どこかの電位を基準として、そこから測った電位”なんですね。
基準なんて自由に決めれば良いわけです。
だからGNDをさっきみたいに10Vとしても、そこを基準に他の場所の電位を考えれば良いんですよ。
でも、これ面倒くさいじゃないですか??
10Vならまだしも、よし、7.68593Vにしよう、なんて決めたら、そこを基準に他の場所の電位を
考えるのって計算が面倒でしょ??
だから便宜上”0V”にしてるだけなんです。
ひょっとすると、学校では何の断りもなく、GNDやアースを0Vだと決めつけて教えているんじゃないで
しょうか?
これ、いけませんよ〜。
かのアインシュタイン博士がおっしゃる相対性理論と似たようなイメージですが、宇宙の森羅万象、
ものごとを考える場合、どこかに絶対的な座標や電位なんてないんですよね。
すべて平等なんです(対称とも言う)。
どこを基準にとっても良いんですよ。
かく言う僕もGNDやアースを0Vだと思い込んでいたのですが、電気や相対性理論を勉強すると、あ、
それは違うんだ!と気づいたんです。
学校でも何の疑いもなく0Vだということで教えられてたような気もしますが・・・。
前回オペアンプの話をしましたが、オペアンプは小さいアンプがいくつか繋がって出来ていると言いました。
その小さい、基本となるアンプで教科書の一番最初に載ってるシンプルなものが3つあるんです。
日本語の教科書ではそれらを(MOSトランジスタのアンプの場合)、ソース接地、ゲート接地、
ドレイン接地アンプと書いてあるんですね。
例えばソース接地アンプというのは文字通りMOSトランジスタのソースという端子がGND、アースに
接続されていて、まさしくソース端子が接地されているというイメージなんです。
接地、すなわちアースされてるという解釈です。
これと先ほどのGND、アースが0Vだという教育を合わせると、ソース端子が0Vに繋がっているという
イメージしか湧きませんよね?
一方、英語の教科書はどう書かれているか?
上の3つの基本的なアンプはCommon Source、Common Gate、Common Drainと書かれていて、GNDとか
Earthなんてどこにも書かれてないんですよ。
そう、Common=共通の点=基準の点にソース端子をつないだアンプですよ、とちゃんと言ってるんですね。
0Vなんて一切言ってない・・・。
こういう表現の仕方のほうが正しいと思います。
ということで、回路図のGNDやアースというのは決して絶対的な0Vではないんですね。
というように、電気回路はGNDをあくまでも電位(電圧)の基準として考え、便宜上そこを0Vとして
設計するということなんです。
じゃアースって何??GNDとどないちゃうの??
厳密にはGNDとアースは分けて考えたほうが良いと思います。
アースと言うのは、よくエアコンの室外機や洗濯機、冷蔵庫などの比較的大電力を扱う電気機器の
筐体(きょうたい)を導線で地面に接続する(金属棒などをブッさす)ことだと思ったほうが良いですね。
ギターアンプでもコンセントが3本足になっているモノがありますよね?
ギターアンプも大電力を扱いますので、その3本足の内の1本がアースとして地面にブッ刺されてるんです。
なぜこんなことをするのかと言いますと、大電力を取り扱う電気機器で漏電が起きた場合、アースして
いないと人体にその大電流が流れて感電してしまうからなんですね。
漏電した分を地面に逃がして感電を防いでいるんですよ。
ギターアンプの場合、この感電対策の他に、シャーシを地面にアースすることでアースに静電シールド効果を
持たせることができますので、ノイズが減るんです!
これ、効果絶大!
この場合、結果的に回路のGNDはアースと一緒に地面に接続されているんですけどね。
驚くなかれ、ギターアンプでもコンセントが2本足のものは回路のGNDは0Vどころか、電位がカッチリと
決まってないまま動作してるんです!
不思議でしょ??
ということで、今回はGND、アースについてちょろっと書いてみました〜。