
【 オーバードライブのギター信号波形の成り立ち: フーリエ変換 】
みなさん、こんにちは!
花粉が飛び始めましたね〜。僕はそれほど症状は酷くないのでまだ助かってますが、重症の方は
大変ですね・・・。お察しいたします・・・。
さて、今回はオーバードライブが掛かったギター信号の波形の成り立ちについてお話ししようと思います。
クリーンなギターの信号をアンプやオーバードライブで歪ませた信号は一体どうなってるのか?!
ここで絵を見てください。
ギターの生の音を理想的なSin波(Cos波)と仮定しますと、絵の一番上に描いてあるような滑らかで歪みの
全くない波形になります(アンプ、オーバードライブと描かれたハコの左側にある緑色の波形)。
その理想的なギター信号をアンプやオーバードライブに通して歪ませた波形を、同じくハコの右側にある
四角の(赤い)波形だとします。
この四角の波形を矩形波(くけいは)と言います。
ほんとのギター信号はもっと複雑怪奇な波形ですが,ここでは上記のようにシンプリファイして考えることに
しますね。
波形が歪むことであのディストーションサウンドになるということは皆さん良くご存知だと思います。
そして、波形が歪むのは、オーバードライブのように過大に増幅された信号が電源電圧(9Vなど)で頭打ちに
なったり、ディストーションのようにダイオードで波形をクリップ(スライス)することで実現されることも
ご存知だと思います。
ではこの歪んだ矩形波はどういうふうに成り立っているのか?!
ここで絵の左下を見てください。
ピンクで描かれた歪みのないクリーンなギター信号(基本波)がありますが、この基本波にその3倍の周波数
の”三次高調波”というのを足してみましょう。
すると、一番左下の赤い波形のようになります。
ちょっと歪んだ矩形波っぽくなりますよね??
ではさらに、基本波の5倍の周波数も足してみましょう。
それを表したのが右下の絵です。
だいぶ矩形波になって来ましたよね??!
さらに7次、9次の高調波を足して行けば完璧な矩形波になります!
このように、一見、理想的なギター信号であるSin波(基本波)とは似ても似つかないディストーションの
矩形波は、何を隠そう、クリーンなギター信号の周波数違いの波形を重ね合わせて実現されてるんです!!
面白いでしょ??
この矩形波は上記のように基本波の3次、5次、7次・・・と奇数倍の周波数の波の重ね合わせで出来ていて,
逆に2次、4次、6次・・・と偶数倍の波形の重ね合わせは三角波になるんです。
これを数式で表したのが絵の左側中段に書いてある”フーリエ級数”という式なんですね。
何やらめまいがしそうな式ですが、a0という直流成分はさておき、Σ(シグマ:足し合わせます、という記号)
のカッコの中は理想的な波であるSin波とCos波(の足し算)になってますよね?
そして、そのSin波、Cos波の前に付いている係数:bn,anというのは足し合わせる波の大きさ(と、それらの
配分)を決めているんです。
このフーリエ級数は、周期的な波形であればなんでも基本波の足し合わせで実現出来る!と言ってるんですね。
そして、さらに周期的でない単発的な波形でも絵の右側中段に書いてありますフーリエ変換という式を使えば
実現可能なんですよ。
右側中段のピンクの枠で囲った式を見てください。
その中のF(x)というのがフーリエ級数にある各波形の大きさを表す係数an,bnとその分布(どの波の成分を
どれだけ足すか)を一言で表している式で、同じく右側中段の緑色の枠で囲った式(フーリエ変換)なんです。
そして、exp(ikx)というのがSin波とCos波(の足し算)を一言で表したオイラーの式というヤツなんです。
それらの掛け算になっているこの式は結局左側中段のフーリエ級数の式と意味合い的には同じ事を言ってる
だけなんですよね。
このように、オーバードライブ、ディストーションの歪んだサウンドである矩形波は、分解すればクリーンな
波形の足し合わせで出来ているということなんです。
面白いですね!
では今日はこんなところで〜。
フェンダー、マーシャルのトーン回路
【 フェンダー、マーシャルのトーン回路 】
みなさん、こんにちは!
さて、今日はフェンダーやマーシャルのアンプに使われているトーンコントロール回路についてお話しして
みたいと思います〜。
皆さん良くご存知の通り,フェンダーやマーシャルのアンプにはTreble,Middle,Bassの三つのコントロールが
あって、使い勝手がいいですよね!
そのトーン回路のことです。
まず図を見てください。
左上にアンプ(とかオーバードライブなど)のめっちゃ簡単な図が書かれています。
その中にトーン回路と書かれている箱があると思いますが,そのハコの中身は右上のような回路になって
います。
このトーンコントロール回路はエフェクターやプリアンプにも使われてるかもしれませんね。
この回路、パッと見てもどういうふうにトーンをコントロールしているのか直感的に判りませんよね??
ではちょっとずつ見て行きましょうか。
まずギターの高音成分ですが、これはトーン回路図の中の一番上にあるコンデンサ:Chを通って、
さらに”Treble”と書かれたボリューム(可変抵抗)を通って出て行きます。
このChとTreble(とBass,Middle)のボリュームとで、いわゆるハイパスフィルタになってるんですね。
ハイパスフィルタは、図の左下にある緑のグラフが表しているように、高い周波数の成分のみを通す動きを
します。
※横軸が周波数、縦軸がレベルです
このChですが、同じく図中のCm、Cbよりもかなり小さい値になっていますので、高音成分しか通さないん
ですね。
そして高音成分のコントロールですが、Trebleのボリュームを回して、その下にあるベース、ミドルの
ボリュームの抵抗値との比を変えることによって、高音の通す・通さないを決めているんです。
Treble Maxにしますと、図のTrebleと書かれている矢印の線が上に上がってコンデンサChに直接くっ付く
形になります。
すると高音はボリュームを通ることなく素通りする形になりますので、キンキンした音になるんです。
逆にTrebleをMinにしますと、今度はTrebleの線が下に下がってコンデンサCbに直接くっ付く形になります
ので、高音はTrebleのボリュームで減衰することになり、コモった音になるんですね。
そして低音成分です。
低音成分は、トーン回路図の真ん中にあるコンデンサCbを通ってTrebleの方へ抜けて行きます。
しかし、よく回路図を見ますと,Cbを通った後に抵抗であるボリュームを通るという形式は上に書いた
高音成分を通す回路(ハイパスフィルタ)と同じですよね??
そうなんです、この低音を通す部分も実はハイパスフィルタになっているんです。
しかし、左下の紫のグラフに表したように、超低音だけをカットし、ある程度の低音から高音までの
広い範囲の周波数を通すように設計されているんです。
そして中音域ですが、上に書いたように高音を通す回路,低音から通す回路と同じ様に、中音域だけを通す
回路があるのか??といいますと・・・・実はないんです!!
図の左下のオレンジのグラフを見てください。
これ、なにをやっているのかと言いますと、Cbを通って来た低音信号の中音域の部分をコンデンサCmによって
削ぎ落してるんです!
ここだけ、信号を通すのではなく、通さない(カットする)ような動きをしてるんです!
そのカットする周波数をCmで決めて、カットする量(残す量)をMiddleのボリュームで決めてるんですね。
そしてこれら三つの動きを合体させたのが図の右下の赤いグラフになります。
とある低音から信号が通り、中音域で一旦減衰し、高音でまた盛り返す、みたいな動作になってるんですね。
もうお気づきでしょう、これ、ドンシャリ回路なんです!!
モノの本によりますと、ギターのピックアップだかスピーカーだかの特性が中音域が盛り上がっているため,
それを抑えて低音〜高音を均一にするようにこういうドンシャリ回路が考案された、という話もあります。
※真相は???ですが
ドンシャリというとマーシャルっぽい感じがしますが、マーシャルはそもそもフェンダーの回路をパ※ってますからねー。
とにかく、この3トーン回路は上記のような動きをしています。
なかなかトンチが効いてますね!
では、今日はこんなところでー。