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 オペアンプの中身ってどうなってんの?

【 オペアンプの中身って?? 】

さて、今日はみなさん興味津々のオペアンプの中身についてお話ししたいと思います。

オペアンプといえば4558など、有名なのがありますよね。

僕もお世話になっています。

普段僕たちが見るオペアンプは、いわゆるゲジゲジと言われる、黒いプラスチック(モールド)ケースから金属の足がたくさん出てるやつですよね。

で、その中身になんかあまり興味がない、と言うか考えたことがないと思います。

今日はその中身がどうやって作られているのかというお話をしてみようかなと思います。

ターゲットはオペアンプの要(かなめ)である“チップ”です。

 

ではここで上側の図を見てください。

その左上にμA741という、これまた有名なオペアンプの写真がありますよね。

これは回路的には、その右横の回路図のように、4558と凄く似ています。

じゃあその回路は実際の“モノ”としてはどうなってプラスチックのケースに入っているのでしょうか?

その答えは、回路図のすぐ下にある写真のようなチップ、半導体チップなんですね。

これ、1mm□程度の大きさですが、これは回路の規模や製造技術の違いでいろんな大きさがあるんです。

虫眼鏡で見ても見えないくらいのものから、ちょっと離れてても認識できるほどの大きさまで様々です。

この半導体チップ、なんか町内の地図みたいに見えますよね??

真ん中くらいに学校の校庭がある、みたいな!

チップ写真には白くて細い線があちこちに這っていますが、これは金属(アルミ)の配線で、その行き着く先にトランジスタや抵抗などがあるんですが、ちょっとこの写真では見えませんね。

しかし、確実に回路図の部品(トランジスタなど)が存在しています。

 

このチップですが、左下の“ウェハ”と書かれた写真のような丸い半導体の板から切り出されるんですよ。

そのウェハには何万個というチップが並んで作られているので、それを1個1個にバラしてプラスチックケースに、ゲジゲジの足(電極、リードフレーム)と一緒に組み込まれるんです。

 

では、このチップにトランジスタなどはどのように作られているのでしょうか?

ここで下側の図を見てください。

例えば、左上のトランジスタ1個(バイポーラNPNトランジスタ)と抵抗1個でできた増幅回路があるとします。

この回路ですが、図中の“ベース”という端子に信号が入力されると、抵抗とコレクタという端子の接続されている部分から信号が増幅されて出てくると言う回路です。

それがチップに作り込まれた場合は、その右側のチップの断面図のような構造になってるんですね。

???ですよね!

黄色い“P”とかかれた(下側の広い)部分がいわゆる下地と呼ばれるウェハそのものの部分です(P型半導体)。

そこに青いN型半導体を注入したり、さらにその上の白い部分である“酸化膜”を堆積させたり、緑色の抵抗を堆積させたりして作り上げていくんです。

そうです、いろんなパーツを何層にも重ねて作っていくイメージですね。

 

これら部品の部分ができたら、酸化膜に穴を開けて部品同士をつなぐ金属(アルミ、図ではピンク色の部分)を堆積させ、その後配線に不必要な部分を除去して回路図通りに部品をつなぐ、という感じです。

 

 

その断面図に薄い黄色でトランジスタのシンボルを書いてますので、バイポーラNPNトランジスタの各端子(エミッタ、ベース、コレクタ)がどう作り込まれているかがなんとなく分かると思います。

 

以上のように、回路のトランジスタや抵抗は半導体ウェハ(P型半導体の下地ウェハ)に何層も重ねて作り上げていくんですね。

 

ではその様子をもうちょっと詳しく見てみましょう。

2枚目の図の下側に、左から右へと1〜15まで番号をつけた図がありますが、半導体チップはこの番号順の工程で何層も重ねられていくんですね。

1はまさしく半導体の下地の状態で、まずそこに4のようにN型(青)の部分を注入するんですね。

その仕方を2〜書いていますが、まずフォトレジストという薬剤をウェハ全面に塗ります。

このフォトレジストというのは光が当たった場所が溶ける薬剤なんですね(その逆もあります)。

そしてN型を注入する場所だけを溶かすために、その部分だけ透明になったフォトマスクというガラスの板を重ねて、パシャっと光を当てます。

すると(詳しくは割愛しますが)光の当たった部分だけ溶けて無くなりますので、穴が開いた状態になります。

そこで、N型半導体の材料をその部分に注入すると、フォトレジストがない部分にN型材料が注入され、フォトレジストが残っている部分には注入されないことになって、所望の場所にN型半導体を形成できるんです。

以降、他の部品の形成も同様にフォトレジストとフォトマスクを使いますが、図では割愛しています。

 

N型が形成(注入)できたら、6のように同じく今度はN型を堆積させます。

7でその堆積されたN型に下地と同じP型半導体を注入することで堆積させたN型に境目をつくるんですね。

これを素子分離と言います。

そして、その分離された右側がトランジスタになっていくのですが、ここまでの工程と同様に必要なものをフォトレジストとフォトマスクを使って一つ一つ重ねて(注入して)行きます。

そして最終的に上の断面図のような形になって完成するんです。

 

どうですか?面倒でしょ?!!

普段何気なく使っているオペアンプはこういう面倒な工程で作られているんですよね。

そしてこのチップを作る工場は小さなホコリ一つあってもダメなので、めちゃくちゃ厳しく管理されたクリーンルームという部屋で作られています。

 

どうですか?難しかったですか??

 

近々オペアンプの回路動作の話とか、自作派さんのためにデータシートの読み方などを解説しょうと思っています。

乞うご期待!!

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