ピックアップの話　

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【　ピックアップの磁石の話　】

みなさん、こんにちは！

今日は皆さんがいつもお世話になっているギターのピックアップについて書いてみたいと思います。
この手の話は雑誌やインターネットにいくらでもありますが、同じような話を書くのではつまらない。
そこで、今回はもうちょっとピックアップの原理的な話をしてみたいと思います。

ピックアップが音を出す仕組みについて雑誌やインターネットによく書いてあるのは、弦（金属）がピックアップの磁石の出す磁力線（磁束、磁界）を乱した結果、電磁誘導によってピックアップのコイルに（ギターの音の信号）電圧が発生する、という感じだと思います。
しかし、僕がちょっとインターネットなどを調べてみたところ，ピックアップが音を出す仕組みを電磁誘導だと言って、その電磁誘導がどういうものなのか詳しく書いているサイトはほとんどないような気がしました。
そこで今回、もうちょっとだけその辺について詳しく書いてみたいと思います。

おそらく皆さんは中学や高校の時に、右手を鉄砲のような形にして、中指、人差し指、親指の順に“電・磁・力”と覚えたと思いますが，もうすっかり忘却の彼方ですよね？！
また、フレミングの右手の法則とかも習ったかと思います。
そうなんです、ギターのピックアップの原理はこの右手の法則なんですよ。

ではこの右手の法則とはどういうものなのでしょうか？？

ここで図を見て下さい。
図の左上にコイルと棒磁石の絵があると思います。
今，絵のように棒磁石をコイルに向かって近づけたとしましょう。
すると、棒磁石が出している磁力線（オレンジの点線矢印）が絵のようにコイルの中を貫きます。
するとコイルはどういう反応を示すのでしょうか？？

実はコイルは、人の言うことを聞かないんです。
３歳の小さい子供のようにイヤイヤをするんですね。
どういうことかと言いますと，コイルは棒磁石の磁力線が自分の中に入って来るのを拒むんです！
どういうふうに拒むのかと言いますと、右上の絵のように、自分自身で棒磁石の磁力線の方向とは逆向きの磁力線（赤い点線矢印）を出して、棒磁石の磁力線を相殺するんです！
これをレンツの法則と言います。
そしてその時，一番右上の写真のように、コイルに反時計回りの電流を発生させるんです。
これがフレミング右手（右ネジ）の法則なんです。
この右手の法則をコイルの絵に当てはめますと、電流がコイルの上から下に流れることになります。

コイルの上から下に電流が流れるということは、コイルがあたかも下向きの電池のようになってるということで、その電池がギターの信号の電圧になる、ということなんですね。

次に棒磁石をコイルから遠ざけることを考えましょう。
その場合、棒磁石の磁力線はコイルの中から減ってしまいますよね。
すると今度はコイルが下向きの磁力線を発生させ（つまり、棒磁石の磁力線が減ることを防ぐ）、それと同時に今度はコイルの下から上に電流を流します。
この場合，先ほどとは逆に、コイルが上向きの電池として働くんです。

このように、コイル内で磁力線を増やしたり減らしたりするとコイルがそれを妨げるように働き，その結果、コイルが電池のような働きをして電流を流すんです。
これを応用したのがギターのピックアップで，ピックアップは棒磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりする動作を、ピックアップ内の磁石が出す磁力線を金属の弦で揺さぶることで代用してるんですね（磁力線を揺さぶることがその増減になる）。

ということで、ギターのピックアップはレンツの法則とフレミング右手の法則による電磁誘導を利用していると言うことなんです。

以上のように、電磁誘導のちょっと踏み込んだ動作が判ったわけですが、ここで疑問が湧きますよね？？

なんで、コイルはイヤイヤをするのか、なんでコイルはその結果，磁力線と電圧（起電力）、電流を発生させるのか？？
実はこれ、現代の科学を持ってしても判らないんです・・・・。
理由が判らない・・・。
理由は判らないけど、この世の中で事実として発生することを“法則”と言うんです。
便利な言葉ですね！

そもそも永久磁石がなぜ磁力を発生させるのかも、その根本的な理由は判りません。
電流が流れるところには磁力が発生する、磁力が発生するところには電流が発生する、というふうに、磁力と電気は切っても切り離せない関係なんです。
永久磁石は、磁石を形成している物質（例えば、鉄、ニッケル、コバルトなど）が持つ電子のスピンによって磁力を発生させてるんですね。
電子というのはスピンという現象を持っており、あたかも電子が回転しているような性質を持ってるんです。
電流の素はというと電子の動きですので，電子が回転すると（本当に回転しているわけではないのですが・・・）それが電流と見なされ、そこに磁力が発生するということなんです。

磁石って本当に不思議ですね〜！！

ギターのピックアップ〜トーン・ヴォリューム〜シールド〜アンプまでの等価回路図も書いておきますので，ご参考までに〜。