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 アナログ?デジタル? 

 

 

【 アナログ?デジタル? 】

 あ〜・・、久々にちょっとした風邪の症状です・・・。
全然大したことないのですが、僕としてはほぼ風邪をひかないので、珍しいです・・。
実は今、僕の職場ではインフルエンザが大流行のパンデミック状態で、1/3くらいの人が

休んでるんですよ・・・。
今年のインフルは感染力が強いのかなあ・・・。
僕もひょっとすると・・・。

 さて、先日”エフェクターブック”という雑誌を読んでいますと、アナログは化石のような技術で

デジタルでないとダメ・・・、みたいな記述があったんです。
まあ悪意はないのでしょうけど、アナログ技術者の僕としてはそこは誤解を解いておきたいと思います。

デジタルというのは、皆さんご存知のように、アナログ信号をとあるルールに従って0、1(Lo,Hi)という

2種類の電圧信号に変換する技術なんですね。
アナログ信号は連続した信号、デジタル信号は0と1で、それらの間がない離散信号なんて言います。

なんでこんなデジタルに変換なんてことをするのか・・・?
例えば、ギターからアンプに音の信号を伝える場合を考えましょう。
シールドケーブルがめっちゃ長く、またシールドがヘボくて外来ノイズもバンバン乗っかってくる劣悪な

環境だとします。
ギターが出す音の信号をそのままアナログ的にアンプに伝える場合、そのような劣悪な環境ではケーブルが

長いのでハイ落ちしますし、外来ノイズが乗ってノイジーになりますから、明らかに音が劣化しますよね。
そこで、ギターの出力の部分に、図のような”A/D Con.”(ADコンバータ:アナログ→デジタル変換器)が

設けてあって、ギター信号を0と1の羅列に変換したとします。
するとアンプにはその0、1の信号(電圧で言いますとLoとHi、例えば0ボルトと1ボルト)が伝えられます。
この0、1信号が長いケーブルで多少減衰しても0は0、1は1をかろうじてでも保つようにしておけば

アンプはちゃんと0と1という情報を正しく受け取ります。
さらに、その0、1信号に多少ノイズが乗っても0、1がかろうじてでも判別できればアンプは同じく0は0、

1は1として受け取ります。
そして、アンプ側でDAコンバータ(デジタル→アナログ変換器)を用いて、その0、1信号を元のアナログに

戻せば、減衰もせずノイズも乗っていない綺麗なギター信号が復元できるというわけです。
このように、連続的なアナログ信号を0と1に変換して伝送すれば、途中の悪影響を受けずに信号を

伝えることができるんですね。
だから地デジの映像は綺麗でしょ!!

どうですか?これを考えますと、デジタルって良い技術で、エフェクターブックにアナログは化石だと

書いたライターさんの気持ちも良くわかりますよね。

ではデジタルの技術ってどうやって成り立ってるの?ということを考えてみましょう。
図の上の方を見ていただくと、アナログのギター信号をA/D Con.でデジタル信号(0、1信号)に

変換した絵が書いてあると思います。
ではその0と1の切り替わり目を見て見ましょう。
拡大!と書かれた矢印の先にはその移り変わりめが文字通り拡大されていますが、0と1の遷移期間は

実は連続的な電圧信号で、ここはアナログに他ならないんです。
量子力学のように途中がないということは(マクロ的には)なくて、やはり連続した信号なんですね。
そしてこの遷移期間のアナログ技術がめっぽう難しい・・・。
例えば0、1信号が1GHzという周波数で切り替わっているとすると、その切り替わりは1秒間になんと

10億回!!
たかだか1kHzでも1000回の切り替わりですよ、1秒間に・・。
これだけ聞いてももの凄い技術が必要だと想像できると思います。

また、図の下の方にパソコンなどのCPUとメモリの図が書いてありますが、このメモリの0、1信号も

数GHzの周波数を持っていますので、CPUとのやりとりには高い技術が必要なんです。

電気信号は実は波として伝わっていますので、その波長が重要になってくるんです。
図に書いてあるように例えば1GHzだとその0、1の1サイクルの波長は30cmになります

(これは真空中の話でマザーボード上ではその半分くらいになります)。
これくらいの波長だと、PCのような大きいマザーボードの配線の場合、反射という現象が起きて問題に

なるんですね。
0、1の信号をCPUがメモリに伝送した場合、それがメモリで反射して戻ってきてしまうんです。
そしてその戻ってきた信号によってCPUが送り出すオリジナルの信号が乱されてしまうという現象が

起きるんですよ。
これを回避するには高周波技術というアナログでも特殊な知識と技術が必要で、難しい技術なんですね。

このようにデジタルの権化のようなPCでもアナログ技術の上に成り立っている。
もちろんデジタル信号処理のエフェクターでもアナログ技術の上に成り立っているというわけです。

なので、エフェクターブックのライターさんが書かれているようなアナログ=化石(=過去の技術)と

いうわけでは決してないんですね。
デジタルの中にはアナログがしっかりと生きている。
アナログをバカにすることなかれ!です。

さあ、デジタルリバーブをポチるとするか!

 

 

 

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