
ペダルワウの回路動作
【 ペダルワウの回路動作 】
みなさん、こんにちは!
Fats Sound Laboratoryの厚木ファッツです。
さて今回はペダルワウの回路動作について書いてみたいと思います。
正直、今回はちょっと自信がありません・・・。
大きく間違ってはいないと思いますが、お読みの皆さんも参考程度に留めておいていただければと・・。
また、あまり詳しく書きすぎても内容が複雑すぎますので、簡単に概要だけにしたいと思います。
まず上の図を見てください。
図の左側にVoxのペダルワウの回路図が書いてあります。
なんだかゴチャゴチャしてますよね〜。
左側にある”IN”と書かれたところからギター信号が入力され、上の方の”OUT”と書かれた部分から、あのワウが
掛かった音の信号が出力されます。
あまりにもゴチャゴチャしてますので、右側にシンプリファイして見ましょう。
スッキリしましたね!
左側の図の緑の点線で囲った部分が右の回路図の”Z”と書かれた箱に相当する部分なんですね。
右のシンプリファイした回路図の”ゲイン:A0”と書かれたすぐ上の部分がペダルワウの基本的な増幅回路
なのですが、その出力Voから入力のVinにそのZの箱がつながっています。
この回路、専門的な言葉で言いますと並列並列帰還回路というんですね。
基本増幅回路の出力電圧をZで検出して、電流として入力に戻すという負帰還回路というものです。
では、Zの中身はどうなっているのでしょうか?
図の中央やや下寄りに”Zの中身”と書かれた絵があると思いますが、このZの回路は左側のコイルと
右側のコンデンサCとによる共振回路と呼ばれるもので、これがまさしくペダルワウの、ミッドをもっこり
持ち上げる特性になってるんですね。
その持ち上げる周波数が何Hzか、というのはコイルのインダクタンスLとコンデンサの容量値Cで決まるんですよ。
もし、インダクタンスLとコンデンサ容量値Cがどちらも一定ならモッコリ持ち上げる周波数が一つに決まった
ままですので、あのペダルワウのホワンホワンという音にはなりません。
どちらかの値をペダルの動きで変化させてやると、右下にあるゲイン-周波数のグラフの様にモッコリの
ピークが動いてホワンホワンとなるわけです!
で、ペダルワウはコンデンサの容量値をペダルの動きで変えてるわけなんです。
ではどうやってコンデンサの容量値を変えているのでしょうか??
ゴチャゴチャした本来のワウの回路図の中に、Volと書かれたボリュームと、その右下にTrと書かれた
トランジスタがあると思いますが、よく図を見ると、そのTrがコンデンサCに繋がっていることがわかります。
(このTrの部分はエミッタフォロワと呼ばれる、いわゆるバッファ回路です)
モッコリさせる周波数を変化させないのであれば、コイルもコンデンサもVo〜Vinの間に同じように挟み込めば
いいのですが、ここではコンデンサ容量値Cの値を変化させたいためにコンデンサだけをVol〜Trの別経路で
Vo〜Vin間に挟み込んでいるんです。
そして、ペダルを踏んでVolを動かすと、コンデンサCに印加されるVoの値が変化しますので、コンデンサCに
流れる電流が変化する、つまり容量値が変わったことと等価になるんですね。
このようにコンデンサの容量値を変化させてモッコリの共振周波数を変え、あのホワンホワンというペダルワウ
独特の音を作り出すわけなんですね。
ペダルワウ全体の伝達関数(入力〜出力の特性を表す関数)は左下の式になってますが、その中にある
(Zlr//Zc)という部分がコイルとコンデンサの並列を表した部分です。
そこに点(’)が付いてますが、これはその中のコンデンサの容量値のみが変化しますよという意味でつけた
点(’)です。
これは数学的にはあまり正しい表現ではなく、僕が便宜上つけた点(’)ですので、悪しからず・・。
ということで、ペダルワウは共振回路のコンデンサの容量値をペダル(Vol)で変化させることでモッコリと
持ち上げる周波数を変化させる、という仕組みなんですね。
これ考えた人はエラい!!
