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 エントロピーとは その3

 

【 エントロピーとエネルギー:最終回 】
みなさん、こんにちは!
さて、壮大なお話も今回が最終回です。

はじめに前回までのお話をまとめておきましょう。
あまりにヤヤこしくて、めまいがしそうですかね?!
僕たちが日々の生活で使っているエネルギーは、137億年前に宇宙がポっと出来た時にその宇宙が持っていた

エネルギーなんです。
これは増える事はありません。
そして、なにか特殊な状態、言い換えると確率的に起こりにくい状態があって初めて僕たちはそれをエネルギー

として使えます。
(岩が高いところにあるとか、熱い空気が一カ所に集まっているとか)
僕たちがエネルギーを使うと、最初にあった確率的に起こりにくい特殊な状態が今度は確率的に起こりやすい

ありふれた状態になって落ち着きます。
これを、エントロピーの低い状態(確率的に起こりにくい状態)がエントロピーの高い状態(確率的に起こり

やすい状態)になる、エントロピー増大の法則と言います。
この世の中は常にエントロピーの増大が起こっており,最終的に僕たちの使えるエネルギーはなくなって

しまう、という暗いお話でした(スンマセンなあ)。

さてここで、エントロピーの低い状態と高い状態を別の角度から見てみましょう。
エントロピーの低い状態、つまり確率的に起こりにくい状態というのは、なにか不均一な状態であるとも

言えます。


岩の例では、世の中の多くの岩は低い位置にあって落ち着いてるという起こりやすい状態にあるのに、

モノを割りたい場所にあった岩は、その岩だけが高い所にあるという状況でした。
もしその岩が低い所にあったとすると世の中の岩は低いところにある均一な状態になりますが、1個だけ

高い所にあると、そこだけ不均一になりますよね?

また部屋を暖める例では、こちらは判りやすくて、熱い空気が一カ所にかたまっているという明らかに

不均一な状況が存在しました。


このように、なにか不均一な状態があれば、僕たちはそれを利用して仕事をすることができ、そうして

エネルギーを使った後は不均一な状態は均一な状態になる、と言う事が出来るんです。

このようにエントロピーを均一さと解釈すれば、何らかの仕事がなされた後に均一な状態に落ち着く

=エントロピーが高くなる(増大する)とイメージすることができますよね。
そして岩や熱い空気がそれぞれ仕事をした後は、岩は低い所に落ち着き、高い温度の空気は部屋全体に

広がると言う、いずれも均一な状態になるのです。
初回に言いましたように,エントロピーを乱雑さとして考えると、上の二つの例とエントロピーがちょっと

結びつきにくいような気がしますよね。
何らかの仕事がなされたら乱雑な状態になると言われても、ちょっとイメージしにくいと思います。
仕事をした後は均一な状態に落ち着くと言った方が、ちゃんと仕事がなされた!というイメージが

湧きませんか??
(湧かないか??)

僕たちが生活する上でエネルギーを使う事は避けられないのですが,そのようにエネルギーを使い続けますと、

エントロピーがどんどん増大して行き,この世の不均一な状態はすべて均一な状態になってしまいます。
すると・・・僕たちはもうエネルギーを使う事が出来なくなってしまうんです。
これは避けられないことなんですよね。

太陽もあと50億年(でしたっけ?)で水素の核融合エネルギーを使い果たしてエントロピーが増大しきって

しまい、燃えることを止めてしまいます。
このとき,太陽の重力が自分自身を抑えきれなくなり,体積が膨張し、太陽系の惑星を飲み込んでしまいます(もちろん地球も!)。
今、省エネ、省エネと盛んに言われてますが,いくら僕たちが省エネを頑張ってもいずれは使えるエネルギーは

なくなってしまいます。
これを宇宙の熱死と言います・・・。
しかし、だからといってエネルギーを無駄に使うとその熱死が早まってしまいますので、それを少しでも先に

延ばそうということで、僕たちは省エネに努めてるんですよね。

また、省エネと言いますと電気の無駄遣いのイメージが強いですが,広い意味でのエネルギーを考えますと、

たとえば僕たちが無駄なことばかりして何にも仕事を残さなかった場合でも、僕たち人間を動かすには

エネルギーが必要ですので,エネルギーの無駄遣いとなり、確実にエントロピーが増大しているんです。
無駄な会議ばっかりやって何にも結果を生み出さないのは、いたずらにエントロピーを増大させてるだけ

なんです!

また、人の居ない部屋の電気が点いているとエントロピーは無駄に増大しています。
スマホの充電もそう、エントロピーが増大しています。
どんどん限りあるエネルギーを消費して行ってるんです。
なんか怖いですよね・・・。
なので、人間の仕事も効率を重視してちゃんとやりましょうね、というわけなんですね。
エネルギーを使うのは仕方がない、でもその代わり、せめて人間の生活が豊かになるものを効率よく作ろう。
無駄遣いは止めよう。
そういうことだと思います。

なんだか暗い結末になりましたが、今回のコラムで僕が言いたかったのは、エネルギーはその上限が決まって

いて、いずれは使えるエネルギーがなくなってしまう、なのでエネルギーの無駄遣いは止めて有り難く

使いましょう、ということなんです。

そして、エネルギーというのは石油や電気のことだけではなく、僕たちが効率の悪い仕事をしても確実に

何らかのエネルギーを無駄にしていますので、そういうことも考えましょうということなんです。
(会社なんて無駄な会議でエントロピーを増大させて、利益を縮小させてませんかねえ・・・)

僕らが使う真空管アンプなんて効率が悪いのですが(使ったエネルギーの多くが単なる熱として空気中に

逃げて行き、残ったエネルギーでスピーカーを鳴らす)、まあその代わりに最高のサウンドを出してくれるので

善しとしましょうかね?!
エレキギターでロックしてるときはオーディエンスを沸かせることだけ考えましょう!

では長らくお付き合い頂きまして、有り難うございました!

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