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 エントロピーとは その2 

 

【 エントロピーとエネルギー:その2 】

みなさん、こんにちは!

前回に引き続き,エネルギーとエントロピーの話です。

壮大な話になって来ましたが,僕は大事な事だと思いますので、よろしければお読みくださいませ!

さて、前回は,この世の全てのエネルギーは137億年前に宇宙が誕生した時にポっと一瞬で発生したもので、

僕たちはそれをやりくりして(変換して)利用しているだけだ、エネルギーは(マクロな時間では)決して

発生しないものである、と言いました。

このように僕たちはこの世に存在する限られたエネルギーを僕たちの利用したい形式に変換したりして

日々使っている訳です。

ここで、そのエネルギーを使う例として、僕たちが何かモノを割りたいとしましょう。

スイカでもいいですし、貯金箱でもいいですし、とにかく何かを割りたいと。

しかしその割りたい対象物は固くてなかなか割れないんです。

木の棒でエイヤ!っと叩いても割れない・・・。

そこでフと上を見ると、大きい岩が崖の上にあった!

しめしめ、その崖の下に割りたいモノを置いておいて、上からその大きい岩を落とせば良いんだ。

幸いその岩は今にも落ちそうなので,テコを使ってちょこっと動かせば簡単に落ちそうだな。

そうして上から岩を落として割りたいモノをめでたく割ったとしますと、まずテコで岩を動かすという仕事を

した結果その岩が崖の下に落ちて行き、最終的にモノを割ると言う仕事をしたことになります。

そしてこの時利用したものは何かと言うと、岩の位置エネルギーなんですね。

岩は地球の重力に逆らって高い所にありましたので、位置エネルギーを持っています。

そして、それが低い所に落ちて行く過程で運動エネルギーに変換され、その運動エネルギーでもってモノを

割るという仕事がなされた訳なんです。

もう一例。

例えば寒い部屋を暖めたいとします。

どうしようか??

?!なんと、すぐそこに温度が異様に高い空気が詰まったビニール袋があった!

よし、そのビニール袋の中の熱い空気をこの寒い部屋に解き放てば部屋が暖まるぞ。

このように、めでたく部屋が暖まりました。

というふうに、この場合は熱い空気の分子がもつ高い運動エネルギーを、もともと寒い部屋にあった冷たい空気の分子(運動エネルギーが低い空気分子)に分け与えて部屋の温度を上げた訳です

(特に変換はしていませんが)。

このように、モノを割るとか暖めるとか、何らかの仕事がなされる時には必ずエネルギーが使われるんです

(変換のあるなしを問わず)。

さて、この二つの例を見て何か気づかないでしょうか?

そうです、まず岩の例では、岩が重力に逆らって高い所にあるという特殊な状況、言い換えると確率的に

なかなか起こりそうもない状況がありましたよね?

そして部屋を暖める例では、熱い空気がビニール袋という狭い空間に局所的に集まっていると言う、自然には

ほぼ起こりえない、起こる確率のめちゃくちゃ低い状況が存在しました(人為的でもない限り起こりえない)。

そうなんです、我々が何か仕事をするために利用するエネルギーは、このように起こる確率の低い状態

(人為的にでもない限り起こりそうもない状態など)が存在して初めて、それを利用、変換が出来るんですよ。

起こる確率が低い状態、つまり、なにか特殊な状態があれば、僕たちはそれを仕事に利用できるわけです。

この確率的に起こりづらい状況をエントロピーが低い状態と言ったりします。

そしてエネルギーを使って何らかの仕事がなされた後は、岩の例では岩が低い所に落ちてそこで落ち着くと

いう比較的起こりやすい状態になり、また部屋の例では一カ所に固まった熱い空気が部屋全体に広がると言う、こちらも確率的に起こりやすい状態に落ち着きます。

つまり、エネルギーを使うと特殊な状態からありふれた状態に落ち着くわけなんですね。

こういう確率的に起こりやすい状態をエントロピーが高い状態と言います。

このように、(この宇宙全体を断熱的な状況だとすると)僕たちがエネルギーを使ったら必ずエントロピーの

低い状態からエントロピーの高い状態になるんです。

これをエントロピー増大の法則なんて言ったりします。

そして、エントロピーが増大しきってしまったモノは、もう仕事に利用することが出来なくなってしまいます。

部屋を暖める例のように、一度部屋中に熱い空気が拡散してしまったら、もう僕たちは二度とその熱い空気を

エネルギーとして使う事は出来ません・・・。

(拡散してしまった熱い空気は自然に再び1カ所に集まる事はほぼ期待できない!)

また、よく、エネルギーは出来るだけ低い(安定した)状態になっていく(自然はエネルギーが低いことを

好む)と言いますが,これは上に書いた事を考えると、確率的に起こりやすい状態に向かって進んで行くと

解釈することが出来るんですね(あたりまえですよね)。

そうなんです、この世の中は確率的に起こりやすい状態に向かって進んで行くんです。

まとめますと、僕たちはなにか確率的に起こりにくい特殊な状況(人為的に作り出した状況など)があって

初めてそれを仕事に利用する事ができる、そして、それを利用したらその特殊な状況はありふれた状態になる、ということなんですね。

言い換えると,確率的に起こりにくい状態(エントロピーの低い状態)があって、それを利用すると確率的に

起こりやすい状態(エントロピーが高い状態)になる、ということです。

そしてエントロピーが高い状態になってしまうと、もはやそれを仕事に利用する事が出来なくなってしまう。

これをエントロピー増大の法則という、ということです。

世の中、時々刻々とエントロピーは増大して行ってます・・。

次回はそういう話とエントロピーが均一さと捉えた方が判りやすいというお話をして締めましょうか!

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