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 バッファってなんじゃ その3 

 

【 バッファってなんじゃ?:その3 】

みなさん、こんにちは!

バッファについて長々とお話ししておりますが,前回までの話をまとめておきましょう。

かなり込み入った話になってしまい、申し訳ございません!

誤摩化すことなく、きっちり説明したいと思いまして・・・。

しかし、以下のことだけ押さえて頂ければOKだと思います。

そして、今回もキリの良い所まで話そうとすると、また長くなってしまいました・・・。

スンマセンですう・・・。

 まず、バッファが活躍する場面は大きく二つで、そのうちの

一つが長〜〜いシールドを使った時です。

長いシールドは、その構造的な問題から、コンデンサ成分がそこに出来てしまうということでした。

そして、長いシールドに繋がれた(バッファのない)エフェクターやギターは、そのコンデンサ成分に本来の

ギター信号に加えて余計な電流を流さなければイケナくなってしまいます(高音成分の電流です)。

この場合,その余計な電流を流す副作用として高音成分のギター信号がショボってしまう現象が起きる、

つまりハイ落ちしてしまうということでした。

細かいメカニズムはさておき、これを押さえておけば良いと思います。

ではこのハイ落ちをどうやって防ぐか?!

そこでバッファの登場です!

前回もお話しした通り,バッファはエフェクターやギターと長いシールドの間に挟み込まれる

緩衝器なんですね(名前通り!)。

バッファを使うと、今まで長いシールドを直接駆動していたエフェクターやギターは今度はバッファを

駆動すればいいことになります。

エフェクターやギターからすると、このバッファには長いシールドのようなコンデンサ成分はありませんので、

楽々ギター信号を出すことが出来ます。

では、長いシールドのコンデンサ成分には誰が電流を流すのでしょうか?

はい、バッファです。

バッファがエフェクター(の内部回路)やギターに代わってシールドのコンデンサに元気に電流を流します!

??!

以前の話では,エフェクターなどはシールドのコンデンサ成分に余計な電流を流すとギター信号(の高音成分)

がショボってしまう、つまり信号波形が変形してしまうとうことでしたが、バッファはそうならないの??

はい、ならないんです。

今からそれを説明しましょう。

まずバッファが元気に電流を流せる能力があるのかのかどうか?から押さえておきましょう。

ここで図を見てください。

図の下側の絵は前回書いたものと同じ、バッファがある場合の状況です。

この絵の中に書いてあるバッファはトランジスタが1個だけある非常にシンプルなもので,

エミッタフォロワという名前がついています。

まずギター信号が上に向かって上昇する場合はバッファ内のトランジスタが電流を元気に吐き出します。

このトランジスタは電流を元気に出力できる素子ですので,そういうモノだと思ってください!

(だからバッファに使われる、と・・・)

そして今度はギター信号が下側に下がる場合です。

この時、出力ジャック=バッファの出力の電圧が下がって行くのですが、絵ではバッファが電流を引っぱり

こんでいるような赤い矢印付きの線が書いてあります(抵抗R〜グランドに向けて流れる方向)。

このバッファの場合、シールドのコンデンサ成分から引き抜くべき電流はこの抵抗Rを通じてグランド

(アース)に流すと言うイメージです。

ちょっと細かい話をすると、この抵抗値を小さくしておかないと電流を引っ張りきれず、バッファがない場合

と同様なことが起こってしまいます。

なので、バッファに使われる抵抗は極力小さくすることが望ましいです。

そうすることによって、バッファが十分電流を引き込めるようになるんですね。

このように、トランジスタ1個と抵抗1個のシンプルなバッファでも電流を出し入れする能力が十分あるという

ことなんです。

ではここでもう一つの重要な疑問です。

バッファじゃないアンプなどは前回の話のように、電流を出し入れするとギターの信号がショボってしまうの

ですが、なぜこのバッファはそうならないの??

ここで登場するのがバッファの出力インピーダンスが低いというお話です。

これもバッファの謎の一つですよね〜。

ローインピーダンス、ローインピーダンスとは言うものの、何じゃそれ??

ですよね・・・・。

ここで図の上側の絵を見てください。

これはバッファだけを抜き出して書いた絵です。

ではここで思考実験をしてみたいと思います。

まずはバッファの出力から、上側の矢印付きの赤い線のように電流を引き出してみましょう(バッファの

入力電圧は一定とします)。

引き出される電流はバッファのトランジスタを介して電源9Vから流れて来ます。

そうすると、この場合も以前と同じように、バッファの出力電圧が下がってしまうんじゃないの??と・・・。

結論から言いますと、バッファの場合はほっとんど出力電圧が変化しないんです。

実は,電流の通り道にあるトランジスタはダイオードを二つくっつけた構造になっていて、絵に描いてます

ようにバッファの入力と出力の間にはダイオードが1個見える(存在する)形になってるんです。

以前のコラムでお話ししたように、ダイオードって約0.7Vの電圧さえ与えればかなりの電流が流せるんです。

言い換えれば、かなりの電流をそこから引っ張り出しても〜0.7Vはほとんど変わらないんですね(ちょこっと

増える程度)。

なので、もしバッファの入力電圧が一定なら、出力から電流をたくさん引っ張り出しても出力の電圧はほとんど

変わらないんです!(〜0.7Vがほとんど変化しない)

次にバッファに外から電流を突っ込んでみましょう。

(下側の矢印付きの赤い線)

まず電流を突っ込んでいない場合ですが,とある電流が電源9V〜トランジスタ〜抵抗〜グランドに(上から

下に)流れていて、これをアイドリング電流と言います。

そしてそこに外から電流を突っ込むと、その突っ込んだ電流が抵抗からグランドに流れるのですが、その

突っ込まれた電流の分だけ電源9V〜トランジスタに流れている電流が減るんですよ。

突っ込まれた分だけ減って帳尻を合わせてるイメージですね。

するとトランジスタに流れてる電流が減ることになりますが、この場合も、トランジスタの入力〜出力間の

ダイオードの0.7Vがほとんど変わらないので、バッファの出力電圧もほとんど変わらないのです。

(電流が増えても減ってもダイオードの電圧は0.7Vからほとんど変わらないということです)

ということで、バッファは、トランジスタ(のダイオード)があるおかげで、そこから電流を出し入れしても

その出力電圧がほとんど変わらないんです。

なので、バッファからシールドのコンデンサ成分に電流を出し入れしてもバッファの出力であるギター信号は

ほとんど変わらない,影響を受けないことになり、バッファがない場合とは違ってハイ落ちしたり

しないんです!

これがバッファの大きいご利益の一つなんですね。

ではここでそれがローインピーダンスとどう関係するのかについて考えてみましょう。

図の右上の絵を見てください。

これはバッファの等価回路と言いまして,バッファと動作が同じで、バッファをもっとシンプルに表した回路に

なります。

さきほど、バッファの出力から電流を出し入れしてもその電圧がほとんど変わらないと言いましたよね?

ここでまたまたE=IRを考えてみますと,この式は大きい電流Iを流しても抵抗Rをめちゃくちゃ小さいと電圧Eが

ほとんど変わらないということを言っていますよね??

具体的に数値を入れてみますと,電流Iが1000でも抵抗Rが0.00001だとするとEは0.01にしかなりません!

ということは、電流を出し入れしても電圧がほとんど変化しないバッファ(の出力)は抵抗Rがめちゃくちゃ

小さい,言い換えるとローインピーダンスだということなんです。

それを端的に表したのが右上の等価回路で、理想的なギター信号を表すバッファ出力の信号源と直列に小さい

抵抗が直列に付いた形になっています。

この小さい抵抗がいわゆる出力抵抗で、この出力抵抗が小さいことをローインピーダンスだと言うのです。

あ〜、長い・・・。

さて、次回はまたローインピーダンスのご利益についてお話ししてみたいと思います〜。

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