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 コンデンサ その2 

【 コンデンサ : その2 】

 みなさん、こんにちは!
前回に引き続き、コンデンサについて書いてみたいと思います。
前回はコンデンサがトーン回路と直流をカットして再度適切な直流電圧をギター信号に与え直す“バイアス

回路”に使用されると言うお話をしました。
実は前回,コンデンサの重要な働きである“電荷を溜める”ということを良い忘れてましたので,以下にそれを

書いてみたいと思います。

さて、今回はコンデンサの内部を覗いてみることにしましょう。
コンデンサは、前回お話ししましたように、2枚の電極を向かい合わせて作られた素子です。
ここで、その電極の上側にプラスの電圧、下側にマイナスの電圧を掛けてみましょう(直流電圧です)。
電極は金属で出来ていますので電子(マイナスの電荷を持っている)がたくさん居ます。
その電子はプラスに引き寄せられ、マイナスに反発して遠ざかりますので、上側の電極からは電子がなくなり、

下側の電極では電子が電極に押し付けられるようにして溜まります。
すると、マイナスの電子がなくなった上側の電極はプラスに帯電し,電子がたくさん溜まった下側の電極は

マイナスに帯電します。
このとき,上側と下側の電極の間に電流が流れることはありませんので、電子の場合は下側の電極で

行き止まりとなり,そこで溜まると言うことなんですね。

上側の電極は電子がなくなってプラスに帯電したと言いましたが,これをプラスの電荷を持つキャリア(電気の

流れを担うもの)が同じく行き止まりの電極に溜まってプラスに帯電したと考えることができるんです。


このようにコンデンサはその電極にプラスのキャリアと電子(こちらはマイナスのキャリア)を溜める

素子だということになります。

そして、前回お話ししたようにコンデンサは直流をブロックする働きをしますが、上記のように直流電圧を

コンデンサに掛けると電極にキャリアが溜まるだけで、決して電極間に電流が流れることがない,

つまり直流をブロックするということなんですね。

さて、図の右上のコンデンサは、電極間に誘電体と言う絶縁物が挟み込まれています。
なんでこんなもん、挟んじゃうの??
実はですね、誘電体を挟むと先ほど言ったキャリアの溜まる量が増えるんですよ。
つまり、コンデンサの容量(〜F:ファラッド)が増えるんです!

ではなぜ、誘電体を挟むとコンデンサの容量が大きくなるのかを
お話ししましょう。

 


図の下側中央の絵を見てください。
誘電体を挟み込んだコンデンサの上側電極にプラス、下側電極にマイナスの直流電圧が印加されています。
誘電体の中にはそれを形成している原子(分子)がたくさん有ります。
その原子にはプラスに帯電した原子核とマイナスの電荷を持つ電子があるのですが、コンデンサの電極を介して

誘電体に電圧が印加されると、絵のように誘電体の中のプラスの原子核とマイナスの電子が、その居場所は

ほとんど変わらないのですが、マイナスが印加された下側電極、プラスが印加された上側電極に

引っ張られるんですね。
すると絵のように誘電体内の粒のプラス、マイナスの向きが揃うんです。
これを“分極”と言います。

そして絵をよく見ると、上側のプラス電極に接している誘電体の表面にはマイナスが集まり,下側の

マイナス電極に接している誘電体の表面はプラスが集まっていますよね。
すると何が起こるか?!
その誘電体のプラス、マイナスが電極に印加したのマイナス、プラスの電圧の力を打ち消してしまうんです!(全部では有りません)

このように、誘電体の分極のために上側と下側に掛けた電圧の力(電界といいます)が弱められてしまうん

です・・・。
しかし、実は電圧と電圧から発生する力(電界)には、電界=電圧÷距離という関係があり,
電極に印加している電圧が変わらない、また電極間の距離が変わらないのであれば、分極によって電界が

弱められる訳にはいかないのです!
ではどうするか?
分極で弱められた電圧の力を補うように、キャリアがさらに電極に集まって来て(電極に電圧を印加している

電池やパワーサプライからキャリアがやって来ます)元の電界の強さを保とうとするんです。
今,キャリア、つまり電子とプラスの電荷を持ったキャリアがさらに電極に集まって来ると言いましたよね?
そうなんです、このように追加でキャリアが集まって溜まる分,コンデンサの容量値(キャリアを溜める

大きさ)がアップするんです!

ギターやエフェクターの中に使われているコンデンサはこのように電極間に誘電体を挟み込むことによって

その容量値を稼いでいるんですね。
だからコンデンサの小型化が可能になるんですね。
もしこのように誘電体を使わなかったら、コンデンサがバカでっかくなってしまい、ギターやエフェクターに

入らなくなってしまうこともあるかもなんです!!

さて、今回はコンデンサの電気を溜める働きのお話をしましたが、
ちょっと長くなってしまいましたので、ここまでにいたしましょう。
乞うご期待!

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