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  オペアンプなど半導体について  

 

【 オペアンプなど半導体製品について 】

 みなさん、こんにちは〜。

さて今日はオペアンプなど、半導体製品の開発〜生産についてちょっと書いてみたいと思います。

その昔、オーディオやギターのアンプなどは真空管という増幅素子が使われていましたが、アメリカのベル研究所などで開発された半導体、トランジスタがそのパラダイムを根こそぎ変えてしまい、現在は半導体なくしては世の中が成り立たないまでにもなっています。
あのデカくて熱くて効率の悪い(電気を喰う)真空管に比べて、小さい、あまり熱を出さない、効率も悪くない、真空管ほど壊れない(寿命が長い)、安いときたら、そりゃあもう真空管を使う理由がないです。
iPhoneが小さいのも、ソリッドのギターアンプが軽くて安いのもみんな半導体のおかげなんですね。

僕もその半導体業界に身を投じてからほぼ四半世紀になりますので、半導体業界の大体のことは知ってるつもりです。
今回はその中でも基本的な半導体の開発〜製造、生産についてのお話をしてみましょうか。
僕はそのスジ(製造、生産)の専門家ではなく、もちろん、世の中にはそのスジの専門家がいて、ディープな話も知ってると思います。
ですので、僕がお話する製造に関する話はごく一般的なことですが、おそらく皆さんの知らないこともあるかと思いますので、楽しんでいただければと思います。

 例えば僕が関係しているオペアンプなどの集積回路(IC)ですが、まず、どういう製品を開発しようか、どういう製品であれば売れるだろうか、というところから始まります。
いわゆる商品企画ですね。
もちろん、製品が売れなければ意味がないですので、どれだけの数量が売れて、どれくらいの値づけをして、どれだけの利益を出すか、ということも考えます。
(他社に同様な製品があったら値段の叩き合いになるんですけどね)
結局は利益を出さなくてはいけませんので、原価を安く抑えて売値を高くしたいわけです。
さらに、企画がダサいといくら性能が良くても売れません・・・。
だから企画ってものすごく大事なんですね。

そしてその企画に基づいて、細かい製品仕様(性能、機能)を決めていきます。
その決まった仕様を受けて、僕たち設計者が回路設計をします。
今の時代、性能も他社との生き馬の目を抜くような競争ですし、値段もレッドオーシャンを溺れるように泳ぐ感じで、僕たち設計者はヒーヒー言ってますが・・・。
他社が販売している業界No.1の性能のカタログ値を見せられて、これを凌駕するものを作らんかい!!って毎度言われます・・・。
言うほうは楽でいいよなあ〜。

そして、設計した回路を試作してちゃんと動くかどうかを確かめ、運よく上手くいけば製品化、商品化へと進みます。
ま、厳しい試作品評価をやれば何か不具合が出てきて、その度に修正が入るんですけどね。

集積回路と言いますと、写真のオペアンプのように黒いプラスティックの外器(パッケージ)に入っていますが、中にはいわゆる半導体のチップが入っています(シリコンですね)。
そのチップには電源を与える端子、グランド(アース)に落とす端子、信号の入力、出力の端子があり、そのチップ上の端子とパッケージから出ている金属の足を細いワイヤーでつないでいます。
写真のオペアンプは大きいですが、僕が手がけているものは1mmx1mm未満のめっちゃくちゃ小さいものなんですよ〜。
だからたくさんの部品を使っているスマホが手のひらに収まるんですよね。

この半導体チップを作るのを前行程、そのチップをパッケージに封入するのを後工程と言います。
チップをパッケージに封入後、集積回路がちゃんと動いてるかどうかの出荷テストをして、無事出荷〜販売となります。
昔なら、前/後工程の両方とも国内でやっていたのですが、やはり日本人の人件費などが高いためそれをやると原価が下がらないんですね。
だから利幅が狭くなり、儲かりません・・。
なので、今の半導体メーカーはそれらの製造工程を人件費が安いアジアにシフトしています。
さらに今は、工場を自社で持たない、身軽なファブレス半導体メーカーもあり、その一方で製造を専門にする工場の会社もあり、両方が上手く連携して半導体製品を作ると言う形式も一般的になってます。
まあ工場という大きくて金がかかる設備を持つのは大変ですし、一方では工場を持っていてモノづくりが得意なメーカーもあるということで、身軽なファブレスが流行っているんですね。
(そういう得意分野に専念するのをマクロ経済では比較優位性なんて言いますが)

というのがざっくりとした集積回路の開発〜生産の流れです。
上に書きましたように今はオペアンプなど集積回路はタイ、マレーシアなどのアジアで生産していますが、もちろん、生産場所が変わっても集積回路の性能が変わってはいけません。
なので、もちろん、製造方法も国産と基本的には変わりませんし、性能も変わりません。
原価が下がり、安く売ることも利益を出すことも可能になりますので、国内や海外の半導体メーカーはこぞってアジアで生産するんですね。

最近、オペアンプのマレーシアンチップがどうのこうのというのをどこかで見たなあ・・・。
何も変わらんと思いますけどねえ・・・。

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